文献詳細
研究と報告
文献概要
I.まえがき
精神分裂病,躁うつ病,てんかんなどのいわゆる内因性精神病の病因論的研究にとつて,双生児法は大きな寄与を示してきたが,神経症の双生児の系統的研究としては現在までのところ飯田およびSlaterの研究が見られるにとどまつている。ところで強迫神経症に関してはE.Bleulerらにより分裂病との密接な関連が指摘されているほか躁うつ病,てんかんなどとの関連性が論ぜられており,一方幼児期の生活環境などの生活史的背景の重要性も強調されている。さてわれわれは一組の一卵性双生児にほとんど同時に発現した強迫神経症でその強迫症状がお互いに相手の動作を真似しないと気がすまないという特徴を示した症例を経験した。かかる症例は井上,飯田の述べているごとく文献的に見て報告例が少ないばかりでなく,各症例についてそれぞれ示唆するところが多いと考えるのでここに報告する次第である。
精神分裂病,躁うつ病,てんかんなどのいわゆる内因性精神病の病因論的研究にとつて,双生児法は大きな寄与を示してきたが,神経症の双生児の系統的研究としては現在までのところ飯田およびSlaterの研究が見られるにとどまつている。ところで強迫神経症に関してはE.Bleulerらにより分裂病との密接な関連が指摘されているほか躁うつ病,てんかんなどとの関連性が論ぜられており,一方幼児期の生活環境などの生活史的背景の重要性も強調されている。さてわれわれは一組の一卵性双生児にほとんど同時に発現した強迫神経症でその強迫症状がお互いに相手の動作を真似しないと気がすまないという特徴を示した症例を経験した。かかる症例は井上,飯田の述べているごとく文献的に見て報告例が少ないばかりでなく,各症例についてそれぞれ示唆するところが多いと考えるのでここに報告する次第である。
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