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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻10号

1964年10月発行

研究と報告

テストより見たる痴呆の研究

著者: 小野和雄1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.746 - P.760

文献概要

I.緒言
 精神医学の臨床では,ある患者について痴呆(dementia)の有る無しを簡単に口にする習慣があるが,その痴呆の種類や程度については印象的診断にとどまる場合が多い。この点,多くの知能検査法が考案され実施されている年少者の精神薄弱の場合と対蹠的である。たとえば老人の患者を例にとつてみると,その精神障害一般に関する研究は多いが,とくに老人ボケないし痴呆についてテストの研究は意外に少ない。わずかにMuenchi1)(1944),Charles2)(1953)らの不完全なものが見られるだけで,わが国においても村松3)(1932),金子4)(1956)のもの以外見るべきものがない。また老人の場合以外を含めて痴呆そのものについての文献もまとまつたものが少なく,著者の知る範囲では,Jaspers5),Scheidt,石橋6),西丸7),J.Zutt8)らを見るにすぎないし,その場合もまた痴呆の概念的な検討が主であつて,テストその他の実験による研究ではなかつた。
 著者は成人用知能検査法として考案されたWechsler-Bellevue Scaleによって痴呆の研究を行ない,老年性痴呆,進行麻痺,脳動脈硬化およびてんかんにおける痴呆の異同を比較検討し,若干の所見を得たのでここに報告したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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