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特集 向精神薬・抗けいれん剤の効果判定法
精神分裂病
著者: 佐藤倚男1 西村真1 加藤敏夫1 高橋良2 金田良夫2 堅田明義2 成瀬浩3 小木貞孝3 加藤誠3
所属機関: 1東京医大神経科 2東京医科歯科大学神経科 3東京大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.827 - P.837
文献購入ページに移動向精神薬の効果については,従来からも種々の研究がおこなわれている。しかし,ひとくちに薬剤の効果といっても,効果を判定する観察者と,対象となる患者の両面についてしっかりした方法論的な準備をもたなければ,主観的な因子が混入して素朴経験的な結論にながれてしまう1)。従来行なわれてきた数多くの研究には,この面の反省が足りないために,発表された薬物効果を他に利用したり,結果を比較したりする際に多大の不便があった。
われわれは,そこで,向精神薬の効果判定の客観化をくわだて,種々の偽似薬物効果を消去しうる方法として,二重盲検,偽薬法を採用し,また使い易い症状評価表を2種類考案し,このシステムによって従来もっとも一般的にもちいられている4薬剤の効果を判定し,それを整理してみたのである。この場合,われわれの意図したのは,第1に,対象患者の病状の時間的推移をできるだけわかりやすく整理表現すること,第2に,使用薬剤の特性を分析することである。なおこの効果判定法は,いわゆる「三大学(東大,東京医歯大,東京医大)法」として,内外の学会にも発表され2)5),全国12大学の組織する臨床精神薬理研究会でも各大学による検討がおこなわれ,非公式な発表がおこなわれている。
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