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文献概要

展望

精神薬物療法の精神力動

著者: 西園昌久1

所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.877 - P.893

I.はじめに
 1952年,chlorpromazineが,精神治療薬として登場して以来,おびただしい向精神薬が現われてきた。そのなかで,臨床的に作用をもつと考えられているものの数をあげてみると,phenothiazine系化合物で50種をこえ,phenothiazine類似の核をもつもの,たとえばchlorprothixene,imipramineamitriptylineなどの系統のもの28種,reserpineおよびそれに類似の化合物9種,最近新たに脚光をあびはじめたbutyrophenone系化合物12種,その他,minor tranquilizerや中枢興奮剤を加えるとおびただしいものになる。
 このように数多くの種類の薬剤が実際にどの程度,使われているかということを,九州大学付属病院精神科の場合を例にとつて示してみると,第1表のようになる。調査当時九大には15診療科があつたわけであるが,そのなかで薬がもつとも処方されるのは精神科なのである。九大付属病院で調剤される薬の20%前後が精神科からのものであるということは驚くべき事実といえよう(第1表)。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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