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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻12号

1964年12月発行

研究と報告

精神薄弱児に対するBOGA(Erythro-β-hydroxy-dl-glutamic acid)の効果について

著者: 斎藤徳次郎1

所属機関: 1東京都立梅ケ丘病院

ページ範囲:P.927 - P.931

文献概要

Ⅰ.序言
 精神薄弱に効く,薬はないものと教えられ,長くそう信じられてきたが,Zimmerman(1946)がL-Glutamic acid(GA)が精神薄弱に効くと発表した。このことは精神薄弱に堅く閉ざされていた扉をたたいたものとして大いに意義があつた。しかしそれにつづいて多数の研究報告が出る。われわれ自身も大いに期待して追試してみたが,こんにちなお決して満足すべき結果でないことはご承知のとおりである。さてGAにつづいて,さらにγ-Amino-butyric acid(GABA),γ-Amino-β-hydroxy-butyric acid(GABOB)などがつぎつぎと登場してきた。すなわち倉田,谷,倉持,高木岡崎,田中らがこれらについて研究報告を行なつているが,これとてもGAと大差なく,また一方Cerebrolysin(Ceremon)も,その特殊の組成からその効果を期待させたが,これも前述の薬物に甲乙ない程度である。
 たまたま私たちは山之内製薬からBOGAを入手しえた。これはつぎにあげるような化学構造,薬理作用をもつ薬物で,それから見ても前述のGA,GABA,GABOBと同列にあるいはそれ以上に,精神薄弱の臨床面に応用されてよいと思われた。とにかく,少しでも有力な新しいもののこころみがなされることは,精神薄弱の改善,理解への一つの手がかりとなると考えてこの試験に着手した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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