icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻2号

1964年02月発行

研究と報告

ルネ症例について

著者: 遠坂治夫1

所属機関: 1三重県立大学医学部付属塩浜病院

ページ範囲:P.127 - P.129

文献概要

 1947年スイスのSechehaye夫人が象徴的実現Réalisation symboliqueの精神療法技法を公けにし,これはまもなくsymbolic realization, symbolische Wunscherfüllungとして英・独語系にも飜訳され大きな反響をよんだが,中でも注目をひいたのは,Sechehayeの治療した少女Renéeの手記Journal d'une Schizophrène(1950)であつた。Renéeの精神療法にとられた画期的な手法の妥当性,Renéeが真に治癒したか,などについてもときどき問題にはなつたが,RenéeのJournalの記述からして,はたして彼女が精神分裂病であつたか否かは疾病論的に関心をもつ諸学者にとつてその後多くの論議の的となつた。
 ZilligはLa réalisation symboliqueの紹介においてRenée例がschizophrener Prozessであったかどうかにかるい疑問を述べている。Rümkeはその真正分裂病echte Schizophrenieと偽分裂病Pseudoschizophrenienとを区別した論文においてRenée例をとりあげ,この病型をSchizophrenie Typus Sechehayeの名のもとに,Entwicklungs-Pseudo-Schizophrenienとして偽分裂病群に属せしめた。彼はRenéeはintrovertierter Typの重症のdegenerative Hysterieと考えている。Conradは彼の著書の付説においてRenée例を考察し,その記述された体験が分裂病性体験と考えられないと論じ,これはschwere Neurose mit kleinen und grossen hysterischen Ploduktionenであるとしてその根拠をRenéeの体験一々についてきびしく論駁した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら