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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻2号

1964年02月発行

文献概要

研究と報告

偽神経症(V. Frankl)と考えられた症例の臨床経験

著者: 森慶秋1 尾野成治1

所属機関: 1福島県立医大精神科

ページ範囲:P.131 - P.135

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I.まえがき
 精神機能と内分泌機能の関係についてはすでに多くの研究報告がなされている1)2)3)。いろいろな心因性要因によつて自律神経系,内分泌系の不安定状態を来たすこともすでにしられている4)5)6)。また反対に,とくに内分泌系の不安定状態があつて,精神症状の現われる場合のあることも,それぞれの内分泌疾患の際の精神症状として記載されている。このような内分泌障害が軽度で,身体症状よりむしろ,精神症状のみの目立つ時には鑑別診断,治療の面において問題が生じてくる。Bleuler1)は「内分泌障害と,その精神症状は一義的には結びつかない。ある内分泌障害に特異的(bestimmt)な精神症状というものは一般的にはあまりない」とのべている、もちろん精神症状のみから原疾患を探ることは不可能である。Frankl7)8)はむしろ治療上の経験から,神経症様症状が前景に出ている内分泌障害(機能的なものが大部分であるという)に注目して狭義の神経症(心因性に生じたものを神経症と定義するならば)に対して偽神経症(Pseudoneurose)とし,類バセドー性(Basedowoid),類テタニー性(Tetanoid),類アディソン性(Addisonoid)の3者について,おのおのの内分泌障害にかなり特異的な症状の認められることをのべている。最近,私共も,この範疇に属するものと考えられる症例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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