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文献概要
研究と報告
いわゆる混合性頭重薬嗜癖の1症例
著者: 明石淳1 大島重利1
所属機関: 1徳島大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.189 - P.192
文献購入ページに移動I.はじめに
近年,解熱鎮痛剤,カフェインおよび睡眠剤などが混合されている頭重薬が,さまざまな商品名を付けられて,誇大な宣伝とともに販売されている。また,これらは非麻薬性鎮痛剤と称せられているが,身体的および精神的な苦痛をやわらげるのにかなりな効果を示すので,習慣的服用を起こしやすい薬剤である。このため,すでに資本主義諸外国では,さまざまな生活上の困難がいちじるしく増強してきたこと,しかもこの種の薬剤が容易に手にはいることなどの理由から,これらの薬剤の嗜癖あるいは中毒のいちじるしい増加が現われているという1)2)。わが国もこの例外ではないはずであるが,われわれのクリニークでは,このような頭重薬嗜癖患者に出会うことは非常にめずらしい。本症例は,いちじるしい精神障害を現わしていたわけではないが,今後これが何かの参考になれば幸いと思うので,ここに報告する。
近年,解熱鎮痛剤,カフェインおよび睡眠剤などが混合されている頭重薬が,さまざまな商品名を付けられて,誇大な宣伝とともに販売されている。また,これらは非麻薬性鎮痛剤と称せられているが,身体的および精神的な苦痛をやわらげるのにかなりな効果を示すので,習慣的服用を起こしやすい薬剤である。このため,すでに資本主義諸外国では,さまざまな生活上の困難がいちじるしく増強してきたこと,しかもこの種の薬剤が容易に手にはいることなどの理由から,これらの薬剤の嗜癖あるいは中毒のいちじるしい増加が現われているという1)2)。わが国もこの例外ではないはずであるが,われわれのクリニークでは,このような頭重薬嗜癖患者に出会うことは非常にめずらしい。本症例は,いちじるしい精神障害を現わしていたわけではないが,今後これが何かの参考になれば幸いと思うので,ここに報告する。
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