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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻3号

1964年03月発行

文献概要

研究と報告

精神薄弱者の挿間性精神病—臨床精神病理学的観察

著者: 尾野成治1 森慶秋1 八島祐子1 兼谷啓1

所属機関: 1福島県立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.197 - P.202

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I.序論
 精神薄弱者(以後,精薄者と略記)に現われる精神病状態は,接枝破瓜病のような慢性難治性で欠陥を残すものをのぞけば,多くは一過性で予後がよく,欠陥を残さずに寛解するものである。このような精薄者の一過性精神病については学者により種々の名称がつけられている。Brendel1)はこれを精薄精神病のAmorphe Zustandsbilderとよんだ。Brendelによればこれは精薄の比較的重症者に多く,一過性に躁うつ性または刺激的となり,不安・錯乱・幻覚妄想が現われ,これがはなはだ複雑に入りまじるほかにいわゆるKatatonといつてよいような昏迷・拒絶・律動的多動性興奮が合併する。しかし基本的な流れは抑制と興奮,ないしは両者の変換を特徴とするまとまりのある病型であるとしている。このBrendelの見解は,われわれがここで報告する精薄精神病の特徴をよくとらえており,これには他の学者も意見がほぼ一致していると見てよいように思う。このような病像をSioli-Neustadt2)は精薄のEpisodische Psychosenとよんだ。W. KretschmerとAngelidis3)はE. KretschmerのPrimitivreaktionになぞらえてPrimitivpsychosenとよぶことを提案した。Medow4)はこのような状態をAtypische Psychosen bei Oligophrenieと題する彼の長編の論文で詳細に論じた。
 Mayer-Gross,Slater,Roth5)のClinical Psychiatryではこの精薄精神病はとくに問題とせずに,分裂病・躁うつ病・てんかんなどとの単なる合併という見地からながめているとみられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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