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研究と報告
錐体外路系疾患に対するCogentinの使用経験
著者: 長尾朋典1 矢崎博通1 麻生弘1 式場聰1
所属機関: 1
ページ範囲:P.387 - P.390
文献購入ページに移動錐体外路系疾患に対する神経生理学的解析と治療(とくに定位脳手術)の進歩は近年顕著なものがあるが,薬物療法についてはなお満足すべきものが少ない現状である。しかも本疾患患者が比較的多い点からさらに確実な効果のある薬物の出現が望まれている。
本疾患に対する薬物療法としては,古くからExt,Daturae,Atropine,Scopolamineなどが用いられ,最近にいたりDiparcol,Artane,Pacatal,Parkin,Kemadrin,Akinetonなどが使用されて,それぞれ効果が見られているにもかかわらず,多くの場合併用療法が必要とされ,さらに症状の進行に伴つて増量の余儀なきにいたる傾向が見られることは,長期間の連用を必要とする薬物療法の現段階における限界とも考えられる。
われわれは今回日本メルク万有株式会社よりCogentinの提供を受けたので,その臨床成績の一部を報告し錐体外路系疾患に対する治療の参考に供したいと思う。
Cogentinは3-Diphenylmethoxytropane methanesulfonate
(Tropine Benzohydry Ether Methansulfonate)である(第1図)。1錠中に2mgを含有する。
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