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文献詳細

雑誌文献

精神医学6巻5号

1964年05月発行

紹介

—Karl Jaspers 著—Gesammelte Schriften zur Psychopathologie—精神病理学論文集

著者: 宮本忠雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.401 - P.406

文献概要

Ⅰ.
 精神医学の領域でのKarl Jaspers(1883・2・23〜)の主著といえば,いうまでもなく,1913年にあらわれた“Allgemeine Psychopathologie”があげられる。事実,この本のおよぼした広汎な方法論的影響は別として,外面的方面だけをとりあげてみても,初版以来つぎつぎに改訂増補されて,こんにちまで8版をかさねており,またこの間,1928年には第3版(1922年)がフランス語に,第4版(1946年)がスペイン語に,第5版(1948年)が日本語に訳されて,それぞれ反響をよび,また最近では,Jaspers的理念がおよそ場ちがいともみられるような英語圏でもその全訳が刊行されたし**,イタリア語訳も近く発刊されるようである***
 むろん,この『総論』の古典的位置はうこかないにしても,その体系的叙述を準備したいくつかの論文がそれに先行していることは,こんにちではあまりかえりみられず,また専攻者ででもなければ読まれもしない。その理由の一半——大半でなく——として,それらの論文が二,三の古い専門雑誌に発表されたままなので,こんにちの研究者にはかんたんに手にとつて読むというわけにいかなくなつている点も見のがせまい。これらの論文8篇がまとめられて表記のような一冊の本となつたのは,序文によると,1963年が『総論』の刊行後50年目にあたると同時に,著者Jaspersの生誕80年にあたるのを記念してということであるが,こうした刊行の背景には上述のような研究者の側の要求もあずかつていたと付度される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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