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動き
精神衛生法改正の審議
著者: 林暲1
所属機関: 1神経研究所
ページ範囲:P.623 - P.626
文献購入ページに移動前にもいつたことかとも思うが,外部から法改正の問題の起こる動機の一つは,不法入院の事件が起こつたときの人権を中心とした考えかたであり,もう一つは今回のような精神障害者の犯罪を動機とした場合で,いわゆる野放し論である。この両面は互いに矛盾するところがあり,実際にはいずれに片寄つても困るのであるが,今回の場合は国家公安委員長としての国務大臣が引責辞職したような関係もあつて,警察庁当局は社会保安的処置に執心が強く,世論もそうした傾きを示しているので,改正をこのさいわれわれの立場で合理的にすること,すなわち精神障害者をできるだけ正しい医療,保護の流れにのせ,社会復帰までのケアを徹底させることが,自ら社会保安の目的にかない,またこれがそのためにもつとも効果的な方法であることの理解をうることが,短時日では相当むつかしいのがつらいところである。
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