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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻1号

2018年01月発行

文献概要

特集 Research Domain Criteria(RDoC)プロジェクトの目指す新たな精神医学診断・評価システム

「診断」という「線」を引くこと

著者: 尾崎紀夫1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野

ページ範囲:P.7 - P.8

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 “There is nothing new under the sun. Nothing exists until it has a name. Nature never draws a line without smudging it.”とは,Lorna Wingが自閉スペクトラム概念の変遷について記述した文章2)の最後に引用した3つの格言である。Wingはこの文章において,Kanner型自閉症概念に加えてAsperger症候群概念が導入されたことにより,Asperger症候群への理解が進むという利点の反面,二つが線引きされた結果生じた問題点を述べた上で,多様な観点から連続対として捉える,マルチディメンジョナルな評価の重要性を説いている。
 日々の精神科臨床において,「不安症として診断・治療されていた甲状腺機能亢進症」といった症例に遭遇すると診断の重要性を感じる一方,疾患と健康,あるいは疾患間の線引きに抵抗を感じることは少なくない。また同一の精神科診断であっても,症状のあり方や取り巻く状況は個々に異なり,その結果,多様な悩みやニーズを持つ精神科患者の個別性に配慮した診療(Precision Medicine)を実現するためには,カテゴリカルに分類するのではなく,マルチディメンジョナルな捉え方が不可欠である。

参考文献

1)石塚佳奈子,尾崎紀夫:22q11.2欠失症候群.別冊日本臨牀:新領域別症候群シリーズ37精神医学症候群(第2版)Ⅰ-発達障害・総合失調症・双極性障害・抑うつ障害.357-362, 2017
2)Wing L:Reflections on opening Pandora's box. J Autism Dev Disord 35:197-203, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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