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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻11号

2018年11月発行

文献概要

特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅰ)

産業保健におけるメンタルヘルス概念

著者: 黒木宣夫12

所属機関: 1東邦大学 2勝田台メディカルクリニック

ページ範囲:P.1261 - P.1269

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はじめに
 労働者健康状況調査(2017年)12)によると,「仕事や職業生活に関して強い不安,悩み,ストレスがあるとする労働者」の割合は59.5%にも及び,精神障害などによる労災請求件数11)は毎年,過去最高を更新し,2016年度は1,732件(前年度比146件増),実際に労災認定された件数も,2016年度498件,2017年度506件で認定率は32.8%を呈しており,深刻な状況が続いている。事業者が民事上の損害賠償責任を問われる事例もあり,労働者のメンタルヘルス不調は,企業経営のリスク要因として見逃せない問題であるという認識が定着してきている。メンタルヘルスとは,精神的健康,心の健康,精神保健,精神衛生などとも称され,産業現場だけではなく精神科医療の精神障害治療の現場でも使用されている。今回,産業精神保健現場におけるメンタルヘルスの概念の変遷に関して説明する。

参考文献

1)中央労働災害防止協会:職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会報告書.2006
2)中央労働災害防止協会:職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書.2010
3)働き方改革実現会議:働き方実行計画.2017
4)厚生労働省:過重労働とメンタルヘルス対策の在り方に係わる検討会報告書.2004
5)厚生労働省:改正労働安全衛生法(平成17年法律第108号).2006
6)厚生労働省:労働者の心の健康の保持増進のための指針.2006
7)厚生労働省:当面のメンタルヘルス対策の具体的推進について.2009
8)厚生労働省労働衛生課:労働安全衛生法の一部改正,ストレスチェック(心理的な負担の程度を把握する検査)制度.2014
9)厚生労働省:ストレスチェック制度関係 Q&A.2015  http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf
10)厚生労働省労働衛生課:心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針.2015
11)厚生労働省:平成29年「労働安全衛生調査」(実態調査).2017
12)厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室:平成30年度「過労死等の労災補償状況」—精神障害の労災補償状況.2018
13)労働省:事業場における労働者の心の健康づくりのための指針.2000
14)WHO/ILO合同委員会(1950年,1995年改訂):産業保健の目的.1995
15)WHO(World Health Organization):“What is mental health?”. World Health Organization. 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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