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特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅰ)
産業保健におけるメンタルヘルス概念
著者: 黒木宣夫12
所属機関: 1東邦大学 2勝田台メディカルクリニック
ページ範囲:P.1261 - P.1269
文献購入ページに移動労働者健康状況調査(2017年)12)によると,「仕事や職業生活に関して強い不安,悩み,ストレスがあるとする労働者」の割合は59.5%にも及び,精神障害などによる労災請求件数11)は毎年,過去最高を更新し,2016年度は1,732件(前年度比146件増),実際に労災認定された件数も,2016年度498件,2017年度506件で認定率は32.8%を呈しており,深刻な状況が続いている。事業者が民事上の損害賠償責任を問われる事例もあり,労働者のメンタルヘルス不調は,企業経営のリスク要因として見逃せない問題であるという認識が定着してきている。メンタルヘルスとは,精神的健康,心の健康,精神保健,精神衛生などとも称され,産業現場だけではなく精神科医療の精神障害治療の現場でも使用されている。今回,産業精神保健現場におけるメンタルヘルスの概念の変遷に関して説明する。
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