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特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅱ)
クロザピン療法の実際の運用—クロザピン専門病棟を中心とした琉球病院での取り組み
著者: 木田直也1 村上優2 大鶴卓1 久保彩子1 石橋孝勇1 福治康秀1
所属機関: 1国立病院機構琉球病院 2国立病院機構さいがた医療センター
ページ範囲:P.1339 - P.1347
文献購入ページに移動クロザピン(CLZ)は治療抵抗性統合失調症に唯一の適応を持つ抗精神病薬である。治療抵抗性とは,2種類以上の抗精神病薬を十分量・十分期間投与しても,Global Assessment of Functioning(GAF)尺度にて41点以上に相当する状態になったことがないものと定義される12)。日本でも2009年7月にCLZが上市されてから9年が経過した。2018年8月時点でのクロザリル患者モニタリングサービス(Clozaril Patient Monitoring Service:CPMS)の登録患者数は7,343人,登録医療機関数は486施設(患者登録済みは409施設)と増えている1)。ただ厚生労働省の2014年患者調査によれば,国内の医療機関で治療を受けている統合失調症患者数(類縁疾患も含む)は約77万人であり,そのうち治療抵抗性の患者は30%程度(約23万人)であると推計される2)が,これまでCLZ治療を受けたのは統合失調症患者全体の1%程度に留まる。対象患者は多いが,国内では治療が十分には普及していない状況である。
琉球病院(以下,当院)では2010年2月から2018年9月までに延べ245例の治療抵抗性統合失調症患者にCLZ治療を行った。CLZの効果は高く3,5,7,8),重度の精神症状を有した患者でも,CLZ治療により精神症状が改善し,数年ぶりに退院をして就労をするなど社会復帰をしている例も増えている。これまでの臨床経験を踏まえ,今回は当院でのCLZ療法の実際の運用についてまとめたので報告を行う。
なお本稿については,日本精神神経学会利益相反基準に照らして,開示するべき企業がないことを明記しておく。
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