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雑誌文献

精神医学60巻2号

2018年02月発行

文献概要

短報

深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症を併発した緊張病患者に電気けいれん療法を施行し寛解した1例

著者: 土井勉1 板垣圭12 神垣伸1 大賀健市1 大盛航12 竹林実12

所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部精神神経科学

ページ範囲:P.205 - P.208

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抄録 電気けいれん療法(ECT)は緊張病症状に有効であるが,深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症合併例に対しては血栓が増悪し致死的となる危険性がある。今回,我々は深部静脈血栓症および肺動脈塞栓症を併発した緊張病患者に対し,抗凝固療法による血栓消失後にECTを施行したところ,安全にECTを完遂でき,劇的な精神症状の改善を得た症例を経験した。緊張病はECTの良い適応である一方で,血栓症のリスクともなり得るため,緊張病に対してECTを施行する場合は常に血栓症を念頭に置き,術前に十分な精査を行う必要がある。本症例のようにたとえ血栓合併例でも抗凝固療法を含む血栓症の予防的治療を行うことによってECTは安全に施行し得ることが示された。

参考文献

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2)本橋伸高,粟田主一,一ノ瀬邦宏,他:電気けいれん療法(ECT)推奨事項 改訂版.精神経誌115:586-600, 2013
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7)山田典一,中野赳:深部静脈血栓症:血栓溶解療法,下大静脈フィルター留置.J Jpn Coll Angiol 49:247-254, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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