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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻3号

2018年03月発行

文献概要

特集 せん妄をめぐる最近の動向

せん妄と高齢者—特に認知症との関連で

著者: 宮永和夫1

所属機関: 1南魚沼市病院

ページ範囲:P.253 - P.262

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はじめに
 DSM-5では,せん妄と認知症の診断基準が明確に書かれているため,鑑別診断は簡単そうにみえるが,臨床現場では鑑別に難渋することが多い6)。特にせん妄は身体疾患を持つ高齢者や認知症に多くみられるが,これらはせん妄自体の準備因子にもなっている。DSM-5によると,病院に入院する際のせん妄有病率は14〜24%,入院中の発生6〜56%,高齢者の術後15〜53%,ICUでは70〜87%にみられるとしている。ここでは,認知症に間違えられる意識障害とともに,認知症に合併する意識障害の症例などを提示しながら,意識障害の持つ意味を考えたい。なお,意識発現の機序や自意識についての基本的な議論は,他の執筆者が論じるかもしれないためここでは行わない。

参考文献

1)Bassiony MM, Lyketsos CG:Delusion and hallucination in Alzheimer's disease:review of the brain decade. Psychosomatics 44:388-401, 2003
2)Hasegawa N, Hashimoto M, Yuuki S, et al:Prevalence of delirium among outpatients with dementia. Int Psychogeriat 25:1877-1883, 2013
3)長谷川典子,池田学:認知症とせん妄.日本老年医学会雑誌 51:422-427, 2014
4)三島和夫:睡眠・覚醒のメカニズムと生体応用.内科 120:1143-1148, 2017
5)水上勝義:認知症患者の夜間にみられる精神症状および行動症状.認知神経科学 17:12-16, 2015
6)日本精神神経学会日本語版用語監修,髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014
7)太田富雄,和賀志郎,半田肇,他:急性期意識障害の新しいgradingとその表現法:いわゆる3-3-9度方式.第3回脳卒中の外科研究会講演集,pp61-69, 1975
8)佐野圭司,間中信也,喜多村孝一,他:軽症意識障害の評価方法に関する統計的研究一断面調査による特徴的臨床像の抽出.神経研究の進歩 21:1052-1055, 1977
9)田中和秀,市村麻衣,森信繁,他:加齢による睡眠覚醒の変化.日本老年精神医学会雑誌 17:1259-1264, 2006
10)谷向知,谷向仁:夜間徘徊,不穏,昼夜逆転とその対応.日本老年精神医学会雑誌 17:1303-1309, 2006
11)鵜飼克行:レビー小体型認知症の診断と治療.明日の臨床 28:7-14, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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