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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻3号

2018年03月発行

文献概要

特集 せん妄をめぐる最近の動向

せん妄の社会的問題

著者: 吉岡充1

所属機関: 1多摩平の森の病院

ページ範囲:P.285 - P.289

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はじめに
 「せん妄」というありふれた症状は医療現場ではよく起きる。大脳の脆弱性に起因するものであろうが,高齢者だけではない。私が最初に体験したのは50歳の現役の商社員であった。骨折入院時に生じた。入院,安静臥床を強いられる。痛みや不安などのストレスで容易に誘発される。問題は一度生じたせん妄に対して有効な向精神薬もなく,せん妄に対しては皆ある厄介さを感じているわけである。介護施設でも日常的に起きており,介護福祉士たちが予防的なケアプランを立てている。病院ではまだ安易に縛っているところが多いのではないかと思われる。入院時に家族から承諾書を取り付けているとも聞く。編集室から私にこの原稿依頼が来たのは,30年以上認知症の人達を病院や施設で縛らないためにはどうしたらよいかを主張し続けている私に医療倫理,社会的立場から発言しろということであるようだ。各論はそれぞれの先生方にお任せし,せん妄に対してあるべき姿,あるべき姿勢について日頃思っていることをまとめたいと思う。

参考文献

1)茨木保:ナイチンゲール伝—図説看護覚え書とともに.医学書院,2014
2)厚生労働省:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第37条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準. http://www.hosp.go.jp/~kamo/pdf/shogukij.pdf(2018年2月5日閲覧)
3)日本医師会:ヒポクラテスの誓い.www.med.or.jp/doctor/member/kiso/k3.html(2018年2月5日閲覧)
4)World Health Organization:Mental Health Care Law:Ten Basic Principles. Geneva, 1996 http://www.who.int/mental_health/media/en/75.pdf(2018年2月5日閲覧)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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