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編集後記
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ページ範囲:P.314 - P.314
文献購入ページに移動 高齢化が進む中で,医療現場でせん妄が問題になり,精神科医の関与が求められることが増えていると思われます。また,高齢者に限らず身体疾患に伴うせん妄への対処を精神科医が問われることも少なくないでしょう。本号では,この古くて新しい問題ともいえるせん妄を取り上げて,間島竹彦先生,藤平和吉先生,松川幸英先生,福田正人先生が特集を組んでいます。せん妄を多側面から照らし出すことによって,理解が深まると同時に,臨床実践への有益な示唆が得られるようになっていると思います。たとえば,高齢者に関連したものとしても,認知症と鑑別を要する意識障害に加えて,認知症に合併する意識障害も検討したり,睡眠薬を中心とする不眠への対応を論じたりしています。また,せん妄を通してアルコール依存や緩和治療についての再考が促される面もあると思います。
本号には,この特集に加えて,伊豫雅臣先生による「治療抵抗性統合失調症とドパミン過感受性精神病—病態と予防および治療法」という展望が掲載されています。一般的な抗精神病薬治療では反応性不良または耐容性不良なために状態が改善しない統合失調症を治療抵抗性とすると,その一部がドパミン過感受性精神病となります。日本での抗精神病薬の使用状況からすると,治療抵抗性統合失調症におけるドパミン過感受性精神病の割合が高いだろうとの指摘がされています。ドパミン過感受性精神病の発現機序が図も含めて分かりやすく示されており,薬物の種類や量による受容体占拠率の相違を念頭に置くことによって,ドパミン過感受性精神病の予防や治療に関する理解が進むようになっています。
本号には,この特集に加えて,伊豫雅臣先生による「治療抵抗性統合失調症とドパミン過感受性精神病—病態と予防および治療法」という展望が掲載されています。一般的な抗精神病薬治療では反応性不良または耐容性不良なために状態が改善しない統合失調症を治療抵抗性とすると,その一部がドパミン過感受性精神病となります。日本での抗精神病薬の使用状況からすると,治療抵抗性統合失調症におけるドパミン過感受性精神病の割合が高いだろうとの指摘がされています。ドパミン過感受性精神病の発現機序が図も含めて分かりやすく示されており,薬物の種類や量による受容体占拠率の相違を念頭に置くことによって,ドパミン過感受性精神病の予防や治療に関する理解が進むようになっています。
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