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特集 医療・医学の課題としての身体合併症
周産期医療との協働
著者: 竹内崇1 武藤仁志1 松岡裕美2 村上一徳1 野口澄子1 有川淑恵2
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院精神科 2東京医科歯科大学医学部附属病院看護部
ページ範囲:P.603 - P.609
文献購入ページに移動「産後うつ」への早期介入を目的に,厚生労働省は2017年度より,産婦健康診査(以下,健診)を受ける際の費用の助成を開始した。健診による精神状態の把握状況は,現時点では各地域によって異なるものの,国の後押しもあり,昨今の産科医療機関における周産期のメンタルヘルスに対する関心は著しい高まりをみせている。このように,わが国における周産期メンタルヘルスの重要性の指摘や実際の活動は,産科側を中心に展開されてきており,その受け皿となる精神科側は十分とは言えない状況である。
妊娠中や産後に生じる急性の精神病状態や精神運動興奮などの,いわゆる精神科救急としての対応を迫られる病態まで発展した場合は,現行の精神科救急システムで対応可能な場合が少なくないが,精神的な不調に対する予防介入や多職種による包括的な支援マネジメントはまさにこれからといったところである。
本稿では,診療報酬改定やガイドラインなどをはじめとしたわが国の周産期メンタルヘルスを取り巻く状況を踏まえ,東京医科歯科大学医学部附属病院(以下,当院)における周産期医療にかかわる多職種との協働,そして,この分野の今後の課題について論じてみる。
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