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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻8号

2018年08月発行

文献概要

短報

修正型電気けいれん療法に際しスキサメトニウムによる高カリウム血症・心室頻拍を来した1例

著者: 岩永亜樹1 瀬戸秀文1 鵜瀬匡祐2 高橋克朗1

所属機関: 1長崎県精神医療センター精神科 2長崎県精神医療センター麻酔科

ページ範囲:P.893 - P.898

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抄録 電気けいれん療法(ECT)は安全性を高めるために改良されてきたが,致死的な副作用報告も散見され,特に心血管系合併症はECTにおける死亡との関連が強い。今回,統合失調症の亜昏迷状態であった20歳台女性に対し修正型電気けいれん療法(mECT)を施行したところ,第8回目に心室頻拍を来し,除細動により回復した症例を経験した。心室頻拍直後に高カリウム血症を認め,筋弛緩薬として投与したsuxamethoniumに誘発されたと考えられた。全身状態を毎回十分に観察し評価することと,各施行時の心電図変化をその都度検討すること,また急変時にも迅速に対応できる環境が,ECTを安全に実施する上で重要と思われた。

参考文献

1)北條貴也,伊藤昌子,肥川義雄:修正型電気けいれん療法の麻酔.臨床精神医学 42:415-420, 2013
2)稲田健,高橋恵,井上彩,他:修正電気けいれん療法施行後に呼吸停止と心電図上心室頻拍を呈した統合失調症の1例.精神医学 47:1259-1261, 2005
3)日本麻酔科学会:麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン第3版4訂.pp147-148, 2017(http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/publication4-6_20170227s.pdf, last accessed on 9 Jan. 2018)
4)瀬戸秀文,金村茂樹,山本智一,他:単科精神科病院における電気けいれん療法に際しての自科麻酔の現状—単科精神科病院でのECT施行に麻酔科医師の招聘は必須か? 精神科救急 14:76-86, 2011
5)卜部和昌,小口敏孝,石川和由,他:全身麻酔下の電気痙攣療法施行直後に発現した心室頻拍の1症例.麻酔 50:50-52, 2001
6)Zisselman MH, Jaffe RL:ECT in the treatment of a patient with catatonia:consent and complications. Am J Psychiatry 167:127-132, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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