文献詳細
「精神医学」への手紙
「精神医学」58巻5号の「大うつ病性障害を併発した身体症状症にduloxetineが著効した1例」を読んで感じたこと
著者: 田中恒孝1
所属機関: 1松南病院精神科
ページ範囲:P.915 - P.916
文献概要
上田7)はうつ病を従来診断に従って「心のうつ病(神経症性うつ病)」と「身体のうつ病(内因性うつ病)」とに分け,後者の特徴としてSchneider3),Huber1)や古茶2)のいう「刺激に対する非反応性」と「生気悲哀」を挙げている。生気悲哀は身体感覚,身体感情,自律神経症状の混然一体化した体から湧き出す不快な感情で,内因性うつ病を特徴づける症状であり,身体のいたるところに限局性,またはびまん性に発現する5,6)。Huberや曽根ら4)は内因性うつ病のきわめて軽いときは生気悲哀が前景に出て「仮面うつ病」の病像を示し,その発現部位に規定されて種々の身体科を受診することになると述べている。
参考文献
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