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文献詳細

雑誌文献

精神医学60巻9号

2018年09月発行

文献概要

資料

ウェブモニターを用いたパチンコ・パチスロ遊技障害の症状の出現頻度の検討—項目反応理論による分析

著者: 秋山久美子1 坂元章2 祥雲暁代3 堀内由樹子4 河本泰信5 佐藤拓6 西村直之7 篠原菊紀8 石田仁9 牧野暢男10

所属機関: 1日工組社会安全研究財団 2お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系 3お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 4お茶の水女子大学文教育学部 5よしの病院 6成瀬メンタルクリニック 7ぱちんこ依存問題相談機関リカバリーサポート・ネットワーク 8諏訪東京理科大学 9公益財団法人日工組社会安全研究財団 10日本女子大学

ページ範囲:P.1045 - P.1054

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抄録 本研究の目的は,パチンコ・パチスロの障害レベルに応じた症状の出現頻度を,項目反応理論により検討することである。ウェブ調査会社のパネルモニターから,首都圏在住で18歳以上,過去1年にパチンコ・パチスロ経験がある人を抽出し,パチンコ・パチスロ遊技障害尺度27項目への回答を求めた。得られた522名の回答を分析した結果,項目の多くは識別力と困難度のいずれも高いことが示された。各症状の出現頻度は,「行動」「動機」項目の多くが障害レベルの低いところで徐々に高くなっていたのに対し,「経済的問題」などの実質的な問題は障害レベルの高いところで急速に頻度が高まり,特に「自殺」は急増していたことが示された。

参考文献

1)秋山久美子,祥雲暁代,坂元章,他:パチンコ・パチスロ遊技障害尺度の作成および信頼性・妥当性の検討.精神医学 58:307-316, 2016
2)秋山久美子,坂元章,祥雲暁代,他:パチンコ・パチスロ遊技障害のカットオフ:DSM-5のギャンブル障害の基準を用いた分析.臨床精神医学 46:463-470, 2017
3)朝日新聞社:ギャンブル依存の疑い536万人.2014年8月21日付朝日新聞朝刊,p37
4)Blaszczynski A, Nower L:A pathways model of problem and pathological gambling. Addiction 97:487-499, 2002
5)熊谷龍一:初学者向けの項目反応理論分析プログラムEasyEstimationシリーズの開発.日本テスト学会誌 5:107-118, 2009
6)Komoto Y:Factors Associated with suicide and bankruptcy in Japanese pathological gamblers. Int J Ment Health Addiction 12:600-606, 2014
7)毎日新聞社:依存症:多い日本 ギャンブル536万人 厚労省研究班.2014年8月21日
8)日工組社会安全研究財団:パチンコ・パチスロ遊技障害全国調査調査報告書.日工組社会安全研究財団,2018
9)日本経済新聞社:ギャンブル依存疑いは536万人成人の5%「世界で高水準」2014年8月20日電子版   http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H0O_Q4A820C1CR8000/
10)大友賢二:項目応答理論入門.大修館書店,1996
11)鈴木綾子,豊田秀樹,小杉正太郎:項目反応モデルによるストレス反応尺度の構成とテスト特性曲線によるその深化の過程.心理学研究 75:389-396, 2004
12)Strong DR, Breen RB, Lesieur HR, et al:Using the Rasch model to evaluate the South Oaks Gambling Screen for use with nonpathological gamblers. Addict Behav 28:1465-1472, 2003
13)Strong DR, Lesieur HR, Breen RB, et al:Using a Rasch model to examine the utility of the South Oaks Gambling Screen across clinical and community samples. Addict Behav 29:465-481, 2004
14)Toyama T, Nakayama H, Takimura T, et al:SY17-4 prevalence of pathological gambling in Japan:results of national surveys of the general adult population in 2008 and 2013. Alcohol Alcohol 49(Suppl 1):i17, 2014
15)康永秀生,井出博生,今村知明,他:インターネット・アンケートを利用した医学研究—本邦における現状.日本公衆衛生雑誌 53:40-50, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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