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雑誌文献

精神医学61巻1号

2019年01月発行

文献概要

短報

クロザピン治療中にけいれん発作が出現した統合失調症の1例

著者: 神垣伸1 大賀健市1 大盛航12 板垣圭12 竹林実12

所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター精神科 2国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター臨床研究部精神神経科学

ページ範囲:P.103 - P.107

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抄録 抗精神病薬は脳波異常やけいれん発作を引き起こす副作用があるが,特にクロザピン(CLZ)は頻度が高いことが報告されている。症例は20歳台,男性。薬剤不耐性および抵抗性で当科に入退院を繰り返していたが,CLZ導入と電気けいれん療法の併用療法により精神症状は安定した。今回,身体的問題から2日間CLZを中止後に,プロトコールを十分確認せずに同用量から再開したところ,全身性の強直間代発作が出現した。脳波でも徐波化を認めたが,バルプロ酸ナトリウムを併用することで脳波所見は改善し,以後けいれんを生じることなくCLZを継続することができた。CLZは少量から注意深く漸増することが必要であり,常に脳波検査によるモニターを行いけいれんのリスクを評価することが必要と考えられた。また,プロトコールにあるように2日以上の休薬後の再開は初期投与量から始めることが重要と考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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