精神医学61巻11号

2019年11月発行

特集 医療現場での怒り—どのように評価しどのように対応するべきか

身体疾患患者やその家族の怒りに対応する

著者： 安井玲子¹ 清水研²

所属機関： ¹国家公務員共済組合連合会虎の門病院精神科 ²国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科

ページ範囲：P.1305 - P.1314

抄録　不安や恐怖，無念さなど，さまざまな感情が怒りとなって表出されることがある。患者や家族から怒りを向けられたとき，それに飲み込まれることなく，怒りの背景にあるものに目を向け，評価を行うことが大切である。それによって怒りを向けられた側の心理的負担を減らし，適切な対応が可能となる。

参考文献

1)Gerhart JI, Sanchez Varela V, Burns JW：Brief Training on Patient Anger Increases Oncology Providers' Self-Efficacy in Communicating With Angry Patients. J Pain Symptom Manage 54：355-360, 2017

2)遠藤麻恵，平山貴敏，清水研：怒り・否認を示す患者．薬局 68(8)：97-102, 2017

3)Straker N：Psychodynamic psychotherapy for cancer patients. J Psychother Pract Res 7：1-9, 1997

4)Philip J, Gold M, Schwarz M, et al：Anger in palliative care：a clinical approach. Intern Med J 37：49-55, 2007

5)明智龍男，森田達也，内富庸介：進行・終末期がん患者に対する精神療法．精神経誌 106：123-137, 2004

6)小川朝生，上村恵一他編：がん患者の精神症状はこう診る　向精神薬はこう使う．じほう，pp7-14, 2015

7)大西秀樹，奥野滋子：がん患者への精神療法．緩和医療学 7：36-42, 2005

8)清水研，工藤浩史：薬剤師が行うこころのケア—こんなときどうするの？　第4回患者さんに「あなたはダメだ」と言われたとき—その言葉を真に受けてはいけない．薬事 60(16)：115-123, 2018

9)清水研，宇田川涼子：薬剤師が行うこころのケア—こんなときどうするの？　第7回「ずっと頑張ってきたのに，なんで私ばかりこんな目にあわなければならないの！」—怒りという感情の扱い方．薬事 61(4)：103-112, 2019

10)石田真弓，高橋孝郎，大西秀樹：がん患者の家族・遺族への対応．精神医学 60：525-530, 2018

11)Braun M, Mikulincer M, Rydall A, et al：Hidden morbidity in cancer：spouse caregiver. J Clin Oncol 25：4829-4834, 2007

12)小川朝生，内富庸介編：精神腫瘍学クイックリファレンス．創造出版，pp295-296, 2009

13)清水研，橋口宏司：薬剤師が行うこころのケア—こんなときどうするの？　第12回家族のケアについて．薬事 61(11)：91-99, 2019

14)大西秀樹，石田真弓，川田聡：精神症状を有するがん患者の家族ケア．癌の臨床 58：125-130, 2012

15)明智龍男：がんとこころのケア．NHKブックスNo.975, NHK出版，pp98-104, 2003