icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻11号

2019年11月発行

文献概要

特集 医療現場での怒り—どのように評価しどのように対応するべきか

患者の怒りのマネジメント

著者: 福森崇貴1

所属機関: 1徳島大学大学院社会産業理工学研究部

ページ範囲:P.1325 - P.1333

文献購入ページに移動
抄録 本稿では,怒りの問題に悩む患者の怒りのマネジメントに焦点を当て,認知行動療法の観点から,1)怒り感情の理解,2)怒りパターンの把握,3)怒りにかかわる個人内要素への働きかけ,という3つのポイントについて概説した。まず,1)では,怒りという感情の持つ適応的な働きについて触れるとともに,一次的感情,二次的感情の区別について解説した。次に2)では,怒りのパターンを把握するための枠組みとして認知行動療法のモデルを提示し,怒りのパターンおよびそこでの悪循環について例をもとに説明した。3)では,患者の身体,認知,行動に変化を促すためのいくつかの方法について紹介した。最後に,本稿の限界点および怒りのマネジメントの医療者への適用について言及した。

参考文献

1)Novaco RW, Taylor JL:Reduction of assaultive behavior following anger treatment of forensic hospital patients with intellectual disabilities. Behav Res Ther 65:52-59, 2015
2)DiGuiseppe R, Tafrate RC:Understanding Anger Disorders. Oxford University Press, New York, 2007
3)Del Vecchio T, O'Leary KD:Effectiveness of anger treatments for specific anger problems;a meta-analytic review. Clin Psychol Rev 24:15-34, 2004
4)Lee AH, Digiuseppe R:Anger and aggression treatments;a review of meta-analyses. Curr Opin Psychol 19:65-74, 2018
5)Novaco RW:The functions and regulation of the arousal of anger. Am J Psychiatry 133:1124-1128, 1976
6)Spradlin SE:Don't Let Your Emotions Run Your Life;How Dialectical Behavior Therapy Can Put You in Control. New Harbinger Publications, Oakland, 2003(スコット・E・スプラドリン著,斎藤富由起監訳:弁証法的行動療法ワークブック—あなたの情動をコントロールするために.金剛出版,2008)
7)Jacobson E:Progressive Relaxation. University of Chicago Press, Chicago, 1929
8)平木典子:改訂版アサーション・トレーニング—さわやかな〈自己表現〉のために.日本・精神技術研究所,2009
9)Bower SA, Bower GH:Asserting Yourself-updated Edition:A Practical Guide for Positive Change. Da Capo Life Long, Cambridge, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?