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特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義
特集にあたって
著者: 鈴木道雄1
所属機関: 1富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座
ページ範囲:P.1365 - P.1365
文献購入ページに移動 病識は精神医学・精神科医療において古くから重要視されてきた概念である。病識の欠如は治療者・患者関係を阻害し,治療資源の利用を困難にし,転帰にも大きく影響することが指摘されてきた。私たちが個々の患者に対して診断し治療を行うときに,病識あるいはより広義の疾病認識について考えることは欠かせない。病識や疾病認識の問題は,精神疾患の種類やステージ(病期)によってそれぞれ異なった特徴がある。病識や疾病認識の形成に関与する要因は多様である。私たちは,簡単に「病識を与える」ことができるものでないことを知っているが,それぞれの治療技法によって,病識や疾病認識が持つ意義や治療効果への影響はさまざまであるとともに,それぞれの治療が働きかける病識や疾病認識のプロセスも多様であると考えられる。
近年,精神疾患の当事者が自らの闘病生活の体験を語ることが増えている。精神科医療の専門家が考える病識と,患者視点による疾病認識は必ずしも同一ではなく,むしろ,それらが大きく異なる場合が少なくない。専門家が,当事者・家族と共同して,共通目標としてのリカバリーを目指すために,当事者や家族が疾病をどのように体験し,認識し,受容し,生活に位置付けているかを理解しようとすることは非常に重要と思われる。
近年,精神疾患の当事者が自らの闘病生活の体験を語ることが増えている。精神科医療の専門家が考える病識と,患者視点による疾病認識は必ずしも同一ではなく,むしろ,それらが大きく異なる場合が少なくない。専門家が,当事者・家族と共同して,共通目標としてのリカバリーを目指すために,当事者や家族が疾病をどのように体験し,認識し,受容し,生活に位置付けているかを理解しようとすることは非常に重要と思われる。
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