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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻12号

2019年12月発行

文献概要

特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義

神経発達症における病識・疾病認識—成人例を中心に

著者: 岡田俊1

所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科

ページ範囲:P.1385 - P.1391

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抄録 神経発達症は,幼少期から認められる認知と行動の偏りであり,そのために日常生活に支障を来すものをいう。いずれの神経発達症特性も,それ自身は病理的ではなく,質的,量的な差異に過ぎず,むしろ当事者には社会における不適応感として認知されやすい。神経発達症の診断においては,このような生きづらさと特性との関係を伝えるとともに,その切り分けについても明確化するなど,心理的な配慮が求められる。近年では「発達障害」概念が広く認知されるようになったが,同時に多くのスティグマを伴っている。神経発達症は,まだ明確な輪郭を持たない障害概念であり,この輪郭を生物学的に明確にする試みを継続する一方,現状においては生きづらさの原因となり得る特性として,支援の対象として位置付け,当事者および周囲の人々に特性の理解を進めていくべきである。

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth ed. (DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2013(日本精神神経学会日本語版用語監修,髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014)
2)WHO:ICD-11 International Classification of Diseases 11th Revision-The global standard for diagnostic health information. https://icd.who.int/en/(2019年8月15日閲覧)
3)岡田俊:発達障害特性のある子の発達をどう捉えるか,どう支えるか.日本精神分析学的精神医学会雑誌(印刷中)
4)Centers for Disease Control and Prevention:Data & Statistics on Autism Spectrum Disorder. https://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html(2019年8月15日閲覧)
5)Polanczyk G, de Lima MS, Horta BL, et al:The worldwide prevalence of ADHD:a systematic review and metaregression analysis. Am J Psychiatry 164:942-948, 2007
6)Fayyad J, De Graaf R, Kessler R, et al:Cross-national prevalence and correlates of adult attention-deficit hyperactivity disorder. Br J Psychiatry 190:402-409, 2007
7)Okumura Y, Usami M, Okada T, et al:Prevalence, incidence and persistence of ADHD drug use in Japan. Epidemiol Psychiatr Sci 28:1-5, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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