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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻12号

2019年12月発行

特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義

自助グループと病識—「私は病気じゃない」けど「研究」する

著者: 向谷地宣明1

所属機関: 1NPO法人BASE

ページ範囲:P.1447 - P.1458

文献概要

抄録 北海道・浦河で「当事者研究」が行われるようになって20年が経つ。それは70年代の後半から継続されてきた依存症の自助グループや当事者活動などが他の精神疾患にも応用される形で発展してきたものである。その中では,病識が直接的に問われることは少ない。しかし,それは病識が軽視されているからではなく,実際はそれらに参加している当事者ほど自分のことをよく把握するようになっていく。そこでは本人が出すテーマや語りがホワイトボードなどにまとめられ,本人が直接参加している場の中でさまざまなアイデアや意見が交換される。「病気じゃない」と言う当事者も,そこに傾聴と理解,「研究事例」という多くの仲間の経験と協力,本人も予想外のアイデアや応答との出会いを通じて,新しい自己理解と自助の可能性もまた開けてくる。

参考文献

1)全国精神障害者家族連合会調査.2005
2)ザビア・アマダー著,八重樫穂高,藤井康男訳:病気じゃないからほっといて そんな人に治療を受け入れてもらうための新技法LEAP.星和書店,pp20, 2016
3)西村由貴:病名呼称変更がもたらしたもの—「統合失調症」の経験から.精神経誌 110:821-824, 2008
4)石川亮太郎,小林茂,石垣琢麿,他:当事者研究による心理社会的認知の変化:浦河べてるの家における5年間の縦断調査.認知療法研究 9(1):55-65, 2016
5)Alcoholics Anonymous(of Japan):https://aajapan.org/(2019年10月20日閲覧)
6)べてるの家:べてるアーカイブ35th(4)分裂病は友達が増える病気. https://note.mu/bethelnoie/n/n551c12949b4d?magazine_key=m23cf68bacff7(2019年10月20日閲覧)
7)ヤーコ・セイックラ,トム・アーンキル著,斎藤環訳:開かれた対話と未来—今この瞬間に他者を思いやる.医学書院,pp41,2019
8)斎藤環:オープンダイアローグとは何か.医学書院,pp25, pp192, 2015
9)浦河べてるの家:べてるの家の「非」援助論—そのままでいいと思えるための25章.医学書院.pp98, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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