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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻12号

2019年12月発行

文献概要

短報

炭酸リチウムと降圧薬の併用により横紋筋融解症を来した1例

著者: 山田英孝12 石井惇史1 八木深1

所属機関: 1国立病院機構花巻病院 2久留米大学医学部神経精神医学講座

ページ範囲:P.1479 - P.1483

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抄録 炭酸リチウムと降圧薬の併用により横紋筋融解症を来したと思われる症例を経験したので報告する。症例は50代男性で,双極性障害と診断され当院に入院した。炭酸リチウム600mg/日にて治療を開始したが,800mg/日に増量した直後に発熱と血清CKおよびトランスアミナーゼの上昇を認めた。ただちに炭酸リチウムの投与を中止したが,その後も血清CKおよびトランスアミナーゼは高値で推移し,さらに四肢の筋力低下と筋肉痛が出現した。横紋筋融解症を疑い降圧薬を中止したところ速やかにこれらの症状は消退したことから,炭酸リチウムと降圧薬の併用により症状が出現したと考えられた。これらの薬剤はいずれも単剤で横紋筋融解症を生じることが知られているが,併用によりさらに可能性が高まると考えられるため十分な注意が必要である。

参考文献

1)板谷一宏,市川博雄:医薬品による重篤副作用への対処法と救済制度—横紋筋融解症.昭和学士会雑誌 75:394-398, 2015
2)市原靖子,菊地博達:薬剤による横紋筋融解症の病態,診断と治療.日本集中医学会雑誌13:206-209, 2006
3)重篤副作用疾患別対応マニュアル—横紋筋融解症.厚生労働省,2006
4)Levenson JL:Neuroleptic malignant syndrome. Am J Psychiatry 142:1143, 1985
5)永田功,西沢英雄,野崎藤章:アンギオテンシン変換酵素阻害薬リシノプリルによって低ナトリウム血症,横紋筋融解症を来たした1症例.日本集中医学会雑誌 13:263-264, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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