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雑誌文献

精神医学61巻12号

2019年12月発行

文献概要

資料

救命救急センターにおける刺創・墜落外傷自殺企図入院患者の臨床的特徴

著者: 新井久稔1 片岡祐一2 井上勝夫1 滝澤毅矢1 大石智1 花島資2 浅利靖2 宮岡等1

所属機関: 1北里大学医学部精神科学 2北里大学医学部救命救急医学

ページ範囲:P.1485 - P.1492

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抄録 致死性が高い自殺企図手段を選択する者は精神症状も重篤なことが多い。救命救急センターに搬送された自殺企図患者を,その手段によって刺創と墜落外傷に分け,臨床的特徴を比較検討した。年齢は刺創群より墜落群において有意に低く,入院期間は刺創群より墜落群において有意に長く,転院は刺創群より墜落群で有意に多かった。精神科診断は両群ともF2(統合失調症,統合失調症型障害および妄想性障害),F3(気分障害)の占める割合が高かった。致死的になりやすい自殺手段をとった患者への対応において,精神症状の評価や精神科治療は特に重要である。墜落外傷に対しては,精神科,整形外科治療,理学療法などの可能な施設,精神科医との連携の工夫が必要と考えられた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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