文献詳細
オピニオン パーソナリティ障害の現在
文献概要
はじめに
私は,「近年,BPDを主とするパーソナリティ障害が話題になることが減った」という企画者の印象には同感である。確かに,母親の育て方がわるかったと云って興奮する(その結果,死にたいと自傷する)ケース,登校・就労刺激を受けて家庭内暴力をしでかす(回避性パーソナリティ障害)ケースは減少したと思う。しかし,DSM-Ⅲ(1980)に登場したこれらパーソナリティ障害のケースが本当に減ったかといえば決してそうではない。臨床現場では,むしろ増加の傾向にあるが,別の診断で永年にわたる薬物療法が施されたり,精神医療の領域を飛び出したりしているケースが多くなって,臨床家の目に留まらなくなっているに過ぎないと,私は考えている。
私は,「近年,BPDを主とするパーソナリティ障害が話題になることが減った」という企画者の印象には同感である。確かに,母親の育て方がわるかったと云って興奮する(その結果,死にたいと自傷する)ケース,登校・就労刺激を受けて家庭内暴力をしでかす(回避性パーソナリティ障害)ケースは減少したと思う。しかし,DSM-Ⅲ(1980)に登場したこれらパーソナリティ障害のケースが本当に減ったかといえば決してそうではない。臨床現場では,むしろ増加の傾向にあるが,別の診断で永年にわたる薬物療法が施されたり,精神医療の領域を飛び出したりしているケースが多くなって,臨床家の目に留まらなくなっているに過ぎないと,私は考えている。
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