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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻2号

2019年02月発行

文献概要

オピニオン パーソナリティ障害の現在

精神科急性期治療におけるパーソナリティ障害の現在—グレーゾーン事例との関連も含めて

著者: 今井淳司1

所属機関: 1東京都立松沢病院

ページ範囲:P.182 - P.185

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はじめに
 本欄(オピニオン)は,「パーソナリティ障害が臨床家の間で話題にのぼることが減ったのではないか?」との疑問から企画された。筆者は,東京都立松沢病院に勤務し,特にこの数年間は女性のみ48床のいわゆるスーパー救急病棟,今年度からは外来医長として,主に精神科急性期治療を担っている。その経験からすると,確かに新患,外部からの入院依頼においてはパーソナリティ障害が問題となることは少ない。一方,昨年まで勤めたスーパー救急病棟では,時折,パーソナリティ障害が問題化したし,外来で問題になる事例の多くはパーソナリティ障害であるような印象がある。よって,精神科急性期治療の現場からの,前述の疑問に対する直感的回答は「どちらともいえない」という玉虫色のものになる。
 本稿では,「精神科急性期治療においてパーソナリティ障害は減ったのか?」との疑問について,まず,措置入院患者におけるパーソナリティ障害の割合の10年間の動向を確認する。続いて,精神科急性期治療におけるパーソナリティ障害治療の実態について触れ,最後にパーソナリティ障害周辺に現在,もしくは今後起ころうとしている問題,について検討する。

参考文献

1)林直樹,今井淳司:情緒不安定性パーソナリティ障害境界型患者の入院治療の特徴—症例対照研究.精神医学 57:927-934, 2015
2)今井淳司,原井宏明,林直樹:BPD治療における精神療法の統合—弁証法的行動療法(DBT)と動機づけ面接(MI)の観点から.精神療法 42:208-214, 2016
3)Linehan MM:Cognitive-Behavioral Treatment of Borderline Personality Disorder. The Guilford Press, New York, 1993(大野裕監訳:境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法—DBTによるBPDの治療.誠信書房,2007)
4)Paris J:Treatment of Borderline Personality Disorder:A Guide to Evidence-Based Practice. The Guilford Press, New York, 2008(黒田章史訳:境界性パーソナリティ障害の治療—エビデンスに基づく治療指針.金剛出版,2014)
5)相模原市の障害支援施設における事件の検証および再発防止策検討チーム(座長山本輝之):報告書 再発防止策の提言.2016年12月8日
6)椎名明大:措置入院者の地域包括支援のあり方に関する研究.厚生労働行政推進調査事業費補助金障害者対策総合研究事業〔障害者政策総合研究事業(精神障害分野)〕精神障害者の地域生活支援を推進する政策研究.分担研究報告書,2017
7)牛島定信編:境界性パーソナリティ障害〈治療ガイドライン〉.金剛出版,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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