文献詳細
書評
—神庭重信,坂元 薫,樋口輝彦 著—気分障害の臨床を語る—変わること,変わらないこと フリーアクセス
著者: 井上猛1
所属機関: 1東京医科大学精神医学
ページ範囲:P.446 - P.446
文献概要
このような背景をもとに,2018年に再び3人の先生が集まって座談会を開催し,本書の後半に鼎談録が掲載されている。実にユニークな構成となっている。本書の後半では,現在の気分障害の臨床について多角的に分析し,深い考えを披露してくれている。さまざまな新しい治療法についての先生方の意見も知ることができる。先生方の博識と見識には敬意を表したい。本書を読んでいると,自分の意見と先生方の意見を比較して,いろいろなことに気付かされるし,考えさせられる。また自分が知らない重要なことを本書から学ぶことができる。このように,20年前と現在に関する座談会を同時に読み比べることによって,大きく変化した気分障害の臨床に気付かされるが,一方,20年経っても変化しなかったこともある。変化だけに気をとられずに,変化していないことは何だろうと考えながら読むと,より本書から得られることが多くなると思う。この書評では,「変わらなかったこと」についての評者の意見はあえて述べない。推理小説でいえばネタバレというタブーを犯すことになり,興味が半減すると思われるからである。「変わること」と「変わらないこと」は何だろうと考えながら本書を読むと,読書の楽しみもよりいっそうになるのではないか。
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