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「精神医学」への手紙
精神療法を学ぶためのカルテ記載の工夫
著者: 布施泰子1
所属機関: 1茨城大学保健管理センター
ページ範囲:P.615 - P.615
文献購入ページに移動 精神医療においても,SOAP形式によるカルテ記載が定着している。優れた方式ではあるが,それだけでは精神療法の研修には不十分であると考える。たいていの精神療法は会話で成り立っており,精神療法の研修(ケースカンファレンス,コンサルテーション,スーパービジョン)においては,その会話をなるべく忠実に再現することが,実り多い研修を受けるための重要な要素の一つである。しかし,患者さんの発言に対し治療者がどう返したか,治療者がどのような質問を投げかけたのか,などの情報の多くは,SOAP形式では抜け落ちてしまう。精神療法を学ぶ精神科医は,精神療法的な関与を治療の中心としているケースについてのみでよいので,会話形式の記録をとることを心がけるべきである。指導を受ける時のみならず,自身で経過を振り返り治療方針を見直す時にも,必ず役立つ。忙しい外来診療の中では無理だと思うかもしれない。また,患者さんのほうを見ずにカルテ記載を続けるのはよくない,という意見は正論である。
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