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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻6号

2019年06月発行

文献概要

特集 マインドフルネス療法は他の精神療法と何が違うのか?

認知行動療法 再考—マインドフルネス認知療法が重視している“脱中心化”に焦点を当てて

著者: 中野有美1

所属機関: 1南山大学人文学部心理人間学科

ページ範囲:P.637 - P.645

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抄録 マインドフルネス認知療法は,うつ病の再発を抑えることを目標に開発された。脱中心化を体得し,認知のとらわれから解放されることが重要であるとされている。一方で,認知行動療法は,認知と行動の変容が目的であるとされている。しかしながら,脱中心化は,認知行動療法においても大切な概念である。本稿では,認知行動療法によりクライエントに脱中心化を引き起こす過程について詳細にたどることで認知行動療法がクライエントに変化をもたらす仕組みについて再考するとともに,そこから浮かび上がる両治療それぞれの特徴について触れた。さらに,トレーニング中の治療者が行う認知行動療法セッションで,クライエントの脱中心化過程に注目したものが少ない実情を考察した。

参考文献

1)Segal ZV, Williams JMG, Teasdale JD:Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Depression:A New Approach to Preventing Relapse. Guilford Press, New York, 2001(越川房子監訳:マインドフルネス認知療法:うつを予防する新しいアプローチ.北大路書房,2007)
2)カバットジン J著,春木豊訳:マインドフルネスストレス低減法.北大路書房,2007
3)Beck AT:Cognitive Therapy and the Emotional Disorers. International Universities Press, Madison, 1976(大野裕訳:認知療法.岩崎学術出版社,1990)
4)Wright JH, Brown GK, Thase ME, et al:Learning Congitive-Behabior Therapy:An Illustrated Guide, Second Edition. American Psychiatric Association Publishing, Washington, D.C., 2017(大野裕,奥山真司監訳:認知行動療法トレーニングブック 第2版.医学書院,2018)
5)Beck AT, Rush AJ, Shaw BF, et al:Cognitive Therapy of Depression. Guilford Press, New York, 1979(坂野雄二監訳:うつ病の認知療法.岩崎学術出版社,2007)
6)Young JE, Beck AT:Cognitive Therapy Scale. University of Pennsylvania, Pennsylvania, 1980
7)Beck JS:Cognitive Behavir Therapy Basics and Beyond, Second Edition. Chapter 15. Guilford Press, New York, p256, 2011(伊藤絵美,神村栄一,藤澤大介訳:認知行動療法実践ガイド:基礎から応用まで—ジュディス・ベックの認知行動療法テキスト第15章.星和書店,p357,2015)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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