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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻6号

2019年06月発行

特集 マインドフルネス療法は他の精神療法と何が違うのか?

森田療法とマインドフルネス

著者: 新村秀人1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室

ページ範囲:P.671 - P.681

文献概要

抄録 マインドフルネス療法におけるマインドフルネスと森田療法におけるマインドフルネスである「あるがまま」とを比較した。マインドフルネス療法では,瞑想を通じて注意制御・情動調整・身体知覚に努め,自己意識をメタ認知に引き上げることにより症状へのとらわれから脱しようとする。一方,森田療法では,目の前の必要なことをするという身体の動きにより,症状をそのまま感じる心の流動性の獲得を目指し,生の欲望が動因となる。両者の大きな違いは,第一に,マインドフルネス療法は,主体と客体を分けて考える二元論で,有心を前提とするのに対し,森田療法は,主体と客体,心身を分けない一元論であり,無心を目指すこと,第二に,マインドフルネス療法は,言葉を用いて意識化することを目指すのに対し,森田療法は,言葉にせずに意識化を離れるようにすること,第三に,森田療法は症状の受容のみならず,日々の生活活動への積極的参与を促すことである。

参考文献

1)カバットジン J著,春木豊訳:マインドフルネスストレス低減法.北大路書房,2007
2)シーガル ZV,ウィリアムズ JMG,ティーズデール JD著,越川房子監訳:マインドフルネス認知療法—うつを予防する新しいアプローチ.北大路書房,2007
3)スティーブン・C・ヘイズ,カーク・D・ストローサル,ケリー・G・ウィルソン著,武藤崇,三田村仰,大月友監訳:アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)—マインドフルな変化のためのプロセスと実践.星和書店,2014
4)マーシャ・M・リネハン著,大野裕監訳:境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法—DBTによるBPDの治療.誠信書房,2007
5)森田正馬:神経質の本態と療法—森田療法を理解する必読の原典 新版.白揚社,2004
6)大谷彰:マインドフルネス入門講義.金剛出版,2014
7)藤野正寛:マインドフルネスの効果の機序 脳科学の立場から—2つの瞑想技法と4つの心理的過程.佐渡充洋,藤澤大介編著:マインドフルネスを医学的にゼロから解説する本.日本医事新報社,pp46-62, 2018
8)村瀬孝雄:内観療法と森田療法.高良武久監修,大原健士郎編:現代の森田療法—理論と実際.pp454-468,白揚社,1977
9)北西憲二:我執の病理—森田療法による「生きること」の探求.白揚社,2001
10)中村敬,北西憲二,丸山晋,他:外来森田療法のガイドライン.日本森田療法学会雑誌 20:91-103, 2009
11)森田正馬:第1回〜第66回形外会.高良武久編集代表:森田正馬全集 第五巻,白揚社,1938/1975
12)エプスタイン・M著,井上ウィマラ訳:ブッダのサイコセラピー—心理療法と“空”の出会い.春秋社,pp243-246, 2009
13)藤田一照:マインドフルネスと無心.精神療法 42:469-475, 2016
14)内村秀幸,竹田康彦編著:精神科クリニックにおける精神療法—認知行動療法・マインドフルネス・森田療法をむすぶ弁証法的治療.金剛出版,2018
15)中村敬:認知行動療法の新しい流れと森田学派の立場.日本森田療法学会雑誌 18:45-50, 2007
16)北西憲二:マインドフルネスとあるがまま.精神療法 42:476-482, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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