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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻6号

2019年06月発行

文献概要

短報

サルコイドーシスおよび糖尿病の治療中に持続する認知機能障害を呈したクリプトコッカス髄膜炎の1例

著者: 治田倫孝12 林要人3 石田康1

所属機関: 1宮崎大学医学部臨床神経科学講座精神医学分野 2医療法人慈光会宮﨑若久病院 3大悟病院精神科

ページ範囲:P.727 - P.731

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抄録 認知機能障害を来したクリプトコッカス髄膜炎の症例を経験した。症例は61歳の男性。サルコイドーシスと糖尿病治療中。急性の見当識障害,記憶障害,視空間認知障害,発熱にて発症。発熱は抗菌薬の投与で改善したが,認知機能障害は数か月に渡り持続した。髄液検査,画像検査を行いクリプトコッカス髄膜炎と診断した。クリプトコッカス髄膜炎は免疫不全状態での発症が多く,本症例ではサルコイドーシス,ステロイド内服や糖尿病等複数の要因により感染に至ったと推察される。また明らかな発熱・炎症所見を伴わずに高次脳機能障害が主症状となることがあり,疑わしい場合には積極的に髄液検査を施行する必要がある。

参考文献

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8)中里良彦:神経感染症(脳炎等).認知症の最新医療 5:13-18, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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