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特集 今再び問う,内因性精神疾患と心因性精神疾患の概念
臨床医からみた内因/心因
著者: 小野泰之1
所属機関: 1東京医科大学精神医学分野
ページ範囲:P.761 - P.768
文献購入ページに移動抄録 患者の病理が内因なのか心因なのかという見立てと,治療手段は強く結びついている。それはたとえば「内因-薬物療法」といった具合に結びついているように思われる。それは標準的な診療現場では未だに有効であることが多いし,薬物療法も確実に進歩しているように思われる。一方で,そういった場合に精神療法的な観点は,どうしても抜け落ちてしまうことが多いかもしれない。たとえ「内因-薬物療法」を治療の中心に据えた場合でも,精神療法的な観点,つまり,こころをこころで受け取るというような観点を保つことで生物学的な視点とは違った視点が得られる。また精神分析の理論から,仮説ではあるが奥行きのある構造を学ぶことはラポールの形成に役立つだろう。
参考文献
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