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文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻7号

2019年07月発行

文献概要

特集 今再び問う,内因性精神疾患と心因性精神疾患の概念

非定型精神病概念の再考

著者: 須賀英道1

所属機関: 1龍谷大学短期大学部社会福祉学科

ページ範囲:P.777 - P.786

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抄録 最近の精神医学において,その診断手法としてDSM-5が主座を占める流れの中で,内因性概念そのものが希薄化している。この背景には最近の精神科医療の対象となる疾患の病態が,内因性概念を規定する要ともなる発生了解の基本をあまり必要としない状況となってきていることが大きい。そうした中で,急性精神病の中核となる非定型精神病においては,未だこの発生了解概念が最も重要な診断手法となっている。本稿では非定型精神病について,その特徴,歴史的背景,生物学的指標の探求,DSM診断出現後に受けた影響,診断基準の作成,縦断的視点における臨床単位としての有用性を述べるとともに,精神科診断における内因性概念についても言及したい。

参考文献

1)満田久敏:内因性精神病の遺伝臨床的研究.精神経誌 55:195-216, 1954
2)須賀英道:非定型精神病の生物学的研究.精神経誌 106:349-355, 2004
3)World Health Organization:The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders:Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines. Geneva, 1992((融道男,中根允文,小見山実他監訳:ICD-10精神および行動の障害—臨床記述と診断ガイドライン 新訂版.医学書院,2005)
4)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. Fourth ed. Text Revision(DSM-Ⅳ-TR). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2000(髙橋三郎,大野裕,染矢俊幸訳:DSM-Ⅳ-TR精神疾患の診断・統計マニュアル.新訂版.医学書院,2002)
5)American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth ed. (DSM-5). American Psychiatric Publishing, Washington D.C., 2013(日本精神神経学会日本語版用語監修,髙橋三郎,大野裕監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014)
6)須賀英道:「急性精神病」における多次元指向性—司法,行政,治療,患者の存在様式.精神経誌 113:1241-1246, 2011
7)金沢徹文,加藤悦史,川村愉,他:わが国における非定型精神病の経時的実態調査.精神科治療学 33:893-897, 2018
8)須賀英道:統合失調症の減少と軽症化はあるのか.精神医学 59:1019-1027, 2017
9)Janzarik W:Die nosologische Differenzierung der idiopathischen Psychosyndrome:ein psychiatrischer Sisyphus-Mythos. Nervenarzt 60:86-89, 1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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