icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学61巻7号

2019年07月発行

書評

—五十嵐禎人,岡田幸之 編—刑事精神鑑定ハンドブック フリーアクセス

著者: 西山詮1

所属機関: 1錦糸町クボタクリニック

ページ範囲:P.834 - P.834

文献概要

 1948年,Schneider Kは法律家を前にした講演で,刑事責任能力につき次のように言った。「(われわれは)弁識能力および制御能力についてはほとんど言及しない。(中略)その理由は,この点については何人も(kein Mensch)答えることができないからである」つまり,鑑定人どころか裁判官も(何人も)心理学的要素に答えることができないというのである。
 数十年にわたる論争を経て上記のような不可知論は克服され,精神科医はその専門知により裁判官の事実認定(弁識能力と制御能力の判断)を援助することができるようになった。言いかえれば,鑑定人は,収集した証拠およびそこから許されるかぎりの推認により,犯行時,精神障害がどのように,どの程度まで心理学的要素に影響を及ぼしたかにつき蓋然性の高い仮説を提供することができる。このような考え方を可知論と呼んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら