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特集 高齢者の精神科救急・急性期医療
文献概要
総務省消防庁が毎年報告している「救急・救助の現況」1)を見ると,救急自動車によって搬送される人員のうち高齢者が占める割合は,その年の高齢化率の2.1〜2.2倍で推移していることが分かる。2017年の実績でも,救急搬送人員5,736,086人のうち65歳以上高齢者が占める割合は58.8%であり,この数値はその年の高齢化率(27.7%)の2.1倍であった。仮にこの倍率が一定であると仮定すると,救急搬送人員における高齢者の割合は2020年には60%,2030年に65%,2060年には80%を超えるものと推計される(図)。
一般の救急医療機関を受診する高齢者のうち,認知症を有する高齢者の出現頻度は定かではない。筆者らが2007年に一指定都市の救命救急センターで実施した調査2)によれば,1か月間に救命救急センターを受診した65歳以上高齢者307人のうち,約3割に認知症の併存が疑われた。この数値を一般化することはできないが,わが国の65歳以上高齢者における認知症有病率が2012年の時点で約15%と推計されている3)ことを考慮すると,救急搬送される65歳以上高齢者における認知症有病率は,その倍程度と見積もることができるかもしれない。
一般の救急医療機関を受診する高齢者のうち,認知症を有する高齢者の出現頻度は定かではない。筆者らが2007年に一指定都市の救命救急センターで実施した調査2)によれば,1か月間に救命救急センターを受診した65歳以上高齢者307人のうち,約3割に認知症の併存が疑われた。この数値を一般化することはできないが,わが国の65歳以上高齢者における認知症有病率が2012年の時点で約15%と推計されている3)ことを考慮すると,救急搬送される65歳以上高齢者における認知症有病率は,その倍程度と見積もることができるかもしれない。
参考文献
1)総務省・消防庁:救急救助の現況. 2018 https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post7.html(2019年8月26日閲覧)
2)久保田洋介,亀山元信,村田祐二,他:救命救急センターにおける認知症高齢者の救急医療. 老年精神医学雑誌 18:1204-1209,2007
3)朝田隆:都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応. 平成24年度厚生労働科学研究総括・分担研究報告書. 2012 https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201218011A(2019年8月26日閲覧)
4)二宮利治:日本における高齢者人口の将来推計に関する研究. 平成26年度厚生労働科学研究総括・分担研究報告書. 2015 https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=201405037A(2019年8月26日閲覧)
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