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特集 精神科臨床における共同意思決定(SDM)
精神科病棟における意思決定支援—平成27年度「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」を踏まえて
著者: 中島公博1
所属機関: 1医療法人社団五稜会病院
ページ範囲:P.1327 - P.1333
文献購入ページに移動抄録 2014(平成26)年4月に施行された精神保健福祉法の法改正に向けた有識者検討会で,保護者の廃止に伴い,精神障害者が入院において自らの意思決定および意思の表明を支援するもの(以下「アドボケーター」)を選択できる仕組みを導入すべきとされた。また,改正法附則第8条では,「精神科病院に係る入院中の処遇,退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についての支援の在り方」について検討を加えることとなった。この経緯の中で,平成27年度厚生労働科学研究補助金障害者総合福祉推進事業である「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」が公益社団法人日本精神科病院協会(日精協)において実施された。本稿では,事業の概要と筆者が所属する精神科病棟における意思決定支援の取り組みについて報告した。精神障害者の意思決定支援については,現状では病院外部からのアドボケーターではなく病院スタッフが担当する場合が多いので,患者の意思を第一に,病状を理解した上で家族らの意向も尊重したバランスのとれた総合的な患者の最善の医療を考慮した取り組みが必要である。
参考文献
1)支援の三角点設置研究会:平成26年度障害者総合福祉推進事業「入院中の精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」,2015
2)日本精神科病院協会:平成27年度障害者総合福祉推進事業「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」,2016
3)新井誠,紺野包子監訳:イギリス2005年意思能力法行動指針民事法研究会,2009
4)中島公博:「入院中の精神障害者の意思決定及び意思の表明の在り方」について.精神障害とリハビリテーション 20:152-155, 2016
5)Tom L. Beauchamp, James F. Childress著,立木教夫,足立智孝監訳:生命医学倫理 第5版.麗澤大学出版会,1997
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