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特集 若年性認知症の疫学・臨床・社会支援
若年性認知症の社会的課題
著者: 宮永和夫12
所属機関: 1南魚沼市立ゆきぐに大和病院 2南魚沼市民病院
ページ範囲:P.1445 - P.1454
文献購入ページに移動抄録 群馬県および全国の疫学調査を基に,現状と課題を述べた。群馬県は第1回より今回の第3回まで継続した調査を実施した唯一の県として,有病率,認知症の種類とともに,障害者手帳や年金の利用者,さらに介護保険利用者の変化などを確認できた。結果,有病率は全国同様にやや減少していること,認知症の種類で逆転が起こったこと,手帳や年金の取得者は変化ないが,介護保険利用は増加したことなどが分かった。なお,自動車免許の返却率が少ないこと,就労が相変わらず早期退職となっていること,若年性認知症家族会の要望内容については,今後取り組み,達成すべき課題と考えた。
また現在65歳以上になった64歳以前発症の「いわゆる若年性認知症」者が,64歳以下の若年性認知症者とほぼ同数いることや,認知症発症後の余命が20年以上あるという実態は,若年性認知症の継続的な有病率調査に加えて,今後は認知症の種類別の余命などの研究にも繋がるものと思われた。
また現在65歳以上になった64歳以前発症の「いわゆる若年性認知症」者が,64歳以下の若年性認知症者とほぼ同数いることや,認知症発症後の余命が20年以上あるという実態は,若年性認知症の継続的な有病率調査に加えて,今後は認知症の種類別の余命などの研究にも繋がるものと思われた。
参考文献
1)合同会社HAM人・社会研究所:平成27年度老人保健事業推進等補助金「認知症の全国実態調査をより詳細に把握するために必要な大都市における調査および若年性認知症調査等に関する研究事業」報告書.2016.
2)宮永和夫:若年(性)認知症の疫学.老年精神医学雑誌 29:358-368, 2018
3)厚生労働省長寿科学総合研究事業:若年認知症の実態に関する研究報告書.平成18〜19年度,群馬県内調査—平成20年5月.分担研究者:現南魚沼市立ゆきぐに大和病院院:宮永和夫(前群馬県こころの健康センター所長),2009
4)宮永和夫,米村公江,一ノ渡尚道,他:日本における若年期および初老期の痴呆性疾患の実態について.老年精神医学雑誌 8:1317-1331, 1997
5)Alzheimer Europe:Prevalence of dementia in Europe. https://www.alzheimer-europe.org/Research/European-Collaboration-on-Dementia/Prevalence-of-dementia/Prevalence-of-dementia-in-Europe(2020年9月16日閲覧)
6)Ofstedal MB, McAuley GF, Herzog R:HRS/AHEAD Documentation Report. Documentation of Cognitive Functioning Measures in the Health and Retirement Study. Survey Research Center, University of Michigan, Ann Arbor, 2002
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