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文献詳細

雑誌文献

精神医学62巻11号

2020年11月発行

文献概要

特集 若年性認知症の疫学・臨床・社会支援

若年性認知症の臨床的課題—前頭側頭型認知症を中心に

著者: 川勝忍1 宮川明美12

所属機関: 1福島県立医科大学会津医療センター精神医学講座 2福島県ふたば医療センター附属病院

ページ範囲:P.1471 - P.1479

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抄録 全国12か所の若年性認知症の有病率調査の一環として,福島県において若年性認知症の有病率の調査を行った。18歳から64歳の若年性認知症の把握数は463人,推定数は563人であり,対10万人あたりの粗有病率は53.3人,標準化有病率は45.2人となり,全国の標準化有病率50.9人よりもやや少なかった。施設担当者の調査標の集計により,65歳未満の若年性認知症の164例が同定され,診断名の内訳として,アルツハイマー型認知症94人(57.3%),血管性認知症28人(17.1%),前頭側頭型認知症14人(8.5%),レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症6人(3.7%)が上位の4疾患であり,これらは全国調査における割合と同様だった。さらに,生活実態について,本人・家族への質問票調査および訪問面接調査により明らかにした。前頭側頭型認知症では症状が進行した方が多く,無関心が優位で,興奮や行動異常は比較的目立たない例が多かった。

参考文献

1)Awata S, Edahiro A, Arai T, et al:Prevalence and subtype distribution of early-onset dementia in Japan. Psychogeriatrics. doi:10.1111/psyg.12596. 2020
2)嶋田裕之,東海林幹夫,池内健,他:DIAN/DIAN-J/DIAN-TU. Brain Nerve 69:701-709, 2017
3)大阪市立大学:家族性アルツハイマー病の人及びその家族に対する支援体制に関する調査研究事業.2014年3月 平成25年度老人保健事業推進等補助金老人保健健康増進等事業.https://www.med.osaka-cu.ac.jp/other/doc/project-20140331a.pdf(2020年9月9日閲覧)
4)品川俊一郎:前頭側頭型認知症の多様性と臨床診断の問題.高次脳機能研究 36:361-367, 2016
5)川勝忍,宮川明美,小林良太,他:前頭葉と変性疾患.脳神経内科 90:559-567, 2019
6)池田学:難病指定からみたFTLD.高次脳機能研究 36:376-381, 2016
7)祖父江元,池田学,中島健二(監修):前頭側頭葉変性症の療養の手引き.平成28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「神経変性疾患領域における基盤的調査研究」班(研究代表者:中島健二)独立行政法人国立病院機構松江医療センター,2017 plaza.umin.ac.jp/neuro2/ftld.pdf(2020年9月9日閲覧)
8)桝田道人,渡辺宏久,勝野雅央,他:FTLD-Jからみたわが国における前頭側頭型認知症の特徴.老年精神医学雑誌 30:1107-1113, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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