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特集 若年性認知症の疫学・臨床・社会支援
若年性認知症の社会支援を目的とする公的事業
著者: 中西亜紀1
所属機関: 1大阪市立弘済院附属病院
ページ範囲:P.1501 - P.1507
文献購入ページに移動抄録 若年者の認知症は,高齢者と比較して発症割合が低く,またそのニーズも多様であり,介護保険制度,障害者施策などの制度の狭間で適切な支援が行われにくい現状がある。支援者側に立つと,ひとりの支援者が支援する機会が少ないため,同職者間での横断的にスキルアップを図る機会が必要である。筆者の勤務する大阪市では,認知症初期集中支援推進事業の推進とともに認知症地域支援推進員を軸として若年性認知症支援の強化を図ってきたが,若年性認知症の相談者は,専門機関での診断後に相談されることが多いため,サービス未利用が多く,利用されるサービスにはインフォーマルサービスの利用割合が高い。認知症疾患医療センターでは診断後支援の充実が求められるようになったが,すべての医療機関での初期診断から,シームレスに支援体制に繋がっていく体制作り強化が求められる。
参考文献
1)粟田主一:日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」(プレリリース) https://www.tmghig.jp/research/release/2020/0727-2.html(2020年9月16日閲覧)
2)大阪市:若年認知症の実態調査結果報告書(中西亜紀監修).2010 https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000083686.html(2020年9月16日閲覧)
3)中西亜紀:認知症1000万人時代を目前に控えて—最新の診断,マネジメント,そして分子標的治療へ—認知症診療の最前線.臨床雑誌内科 120:203-208, 2017
4)認知症当事者の会:「日本認知症ワーキンググループ」設立趣意書. http://www.facebook.com/ninnchisyotoujisyanokai/posts/812117405506760(2020年9月16日閲覧)
5)日本認知症学会:日本認知症学会専門医を対象にした,新型コロナウイルス感染症蔓延による認知症の診療等への影響に関するアンケート調査結果. http://dementia.umin.jp/pdf/kekka.pdf(2020年9月16日閲覧)
6)朝倉崇:横浜市における若年性認知症支援の現状と課題—保健師に必要な視点とは.保健師ジャーナル 75:758-763, 2019
7)坂本カノ子:若年性認知症に関する世田谷区の取り組み—認知症当時者のニーズに応える「認知症当事者のための社会参加型プログラム開発事業」.保健師ジャーナル 75:758-763, 2019
8)鷲見幸彦:「認知症疾患診療ガイドライン2017」を読み解く—認知症の本人や家族を支えるための社会資源・社会制度.Brain Nerve 70:221-231, 2018
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