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特集 身体症状症の病態と治療—器質因がはっきりしない身体症状をどう扱うか?
文献概要
抄録 古典的には器質的疾患を除外することが身体科医の第1の役割であり,器質的疾患を除外してから初めて身体症状症(SSD)の診療が開始されていた。しかし,器質的疾患の除外は容易ではなく,またSSDの診断にとって必要条件でもない。SSDを積極的に診断するほうが診断までの日数は短く,正診率はむしろ高い可能性すらある。SSDを早期に診断することで,不安や「症状の深刻さについての不釣り合いな思考」に対して早期にアプローチが可能となる。
SSDの早期診断には病歴が最も重要である。非特異的な全身症状のみで臓器特異的な症状や客観的な異常所見がない場合や,多臓器にまたがる症状を呈する場合はその可能性が高いが,一つひとつの症状が器質的疾患を示唆するに値するか詳細に確認する。身体診察では診察中のため息や,腹痛があるにもかかわらず腹部診察時に眼を閉じていることが参考になる。決して闇雲に検査をしないことが肝要である。
SSDの早期診断には病歴が最も重要である。非特異的な全身症状のみで臓器特異的な症状や客観的な異常所見がない場合や,多臓器にまたがる症状を呈する場合はその可能性が高いが,一つひとつの症状が器質的疾患を示唆するに値するか詳細に確認する。身体診察では診察中のため息や,腹痛があるにもかかわらず腹部診察時に眼を閉じていることが参考になる。決して闇雲に検査をしないことが肝要である。
参考文献
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