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特集 発達障害と認知症をめぐって
老年期精神科医療の臨床場面やケアの現場での対応
著者: 繁信和恵1
所属機関: 1公益財団法人浅香山病院精神科・認知症疾患医療センター
ページ範囲:P.179 - P.185
文献購入ページに移動抄録 現在の初老期から高齢期の人々が幼少の頃には発達障害という概念は浸透していない時代であった。そのため診断や療育・指導を受けることなく,本人・家族ともに,さまざまな生きづらさを経験しながらも,発達障害を自覚することなく長年生活してきたことが推測される。元々の発達特性が加齢に伴い先鋭化することも考えられる。また,高齢になればなるほど認知症が合併してくる割合も増加する。そのような高齢者が日常生活にさらに支障を来すようになったり,地域で孤立することが実際に起こっている。認知症ケアの場面でも通常の認知症ケアでうまくいかない場合は発達障害の合併を疑い,発達障害の特性を理解したケアが必要である。
参考文献
1)Perlins EA, Berkman KA:Into the unknown:aging with autism spectrum disorders. Am J Intellect Dev Disabil 117:478-496, 2012
2)Brod M, Schmitt E, Goodwin M, et al:ADHD burden of illness in older adults:a life course perspective. Qual Life Res 21:795-799, 2012
3)繁信和恵:強迫,常同,反復(強迫状態●観念・行為●と常同的・反復的運動やこだわり).精神科治療学 32:37-40, 2017
4)繁信和恵:認知症とこだわり—前頭側頭型認知症を中心に.臨床精神医学 46:967-972, 2017
5)繁信和恵,池田学:FTLD患者への対応.Brain Nerve 61:1338-1342, 2009
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