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特集 精神医学・医療の未来を拓く人材育成
文献概要
抄録 日本の児童精神科医療では児童精神科医が不足しているために社会的ニーズに応えられていない。その不足を解消するためには,大学における児童精神医学講座の設置や児童精神科医としての職場の確保が必要であることを指摘した。またその職場の確保のためには,一般精神科病院における児童精神科の設置が重要であり,そのためには保険点数の改善などによる経済的措置が必要である。さらに国民が安心して信頼できる専門医となることが重要であり,そのために日本専門医機構におけるサブスペシャルティとなることが喫緊の課題である。そして専門医制度の下に標準的な児童精神科医療を提供できる児童精神科医を養成することが社会のニーズに応えることになると思われる。
参考文献
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