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特集 精神医学・医療の未来を拓く人材育成
総合病院精神医学の人材育成
著者: 明智龍男1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学
ページ範囲:P.277 - P.282
文献購入ページに移動抄録 総合病院には児童から高齢者まですべての世代の人々がさまざまな疾患で入院するため,総合病院に勤務する精神科医には,あらゆる精神疾患の診断,治療の技術が求められる。救急医療の現場でみられる多彩な精神症状のマネジメント,身体疾患やその治療の結果生じる精神症状に加え,身体合併症医療,緩和ケアとしてのがん患者や家族の精神的ケア,臓器移植を受ける患者・家族の複雑な心理状態の評価やケアなどである。これら身体疾患を理解した上での精神症状のマネジメントを行う精神科医への社会のニーズはきわめて高い。また他診療科との協働が多いため,必然的に総合病院ではチーム医療の一員として機能することが求められる。他診療科の医療スタッフと良好な関係を築き患者中心の医療を提供することは,精神科診療を実践する上でも大変有用である。本稿では,総合病院で実践されている精神医療の紹介を通して,その魅力や人材育成の重要性を伝えたい。
参考文献
1)明智龍男:コンサルテーション・リエゾン精神医学.尾崎紀夫,三村將,水野雅文,他編:標準精神医学第7版.医学書院,pp181-193, 2018
2)Heinrich TW, Schwartz AC, Zimbrean PC, et al:Recommendations for training psychiatry residents in psychosomatic medicine. Psychosomatics 55:438-449, 2014
3)Mitchell AJ, Chan M, Bhatti H, et al:Prevalence of depression, anxiety, and adjustment disorder in oncological, haematological, and palliative-care settings:a meta-analysis of 94 interview-based studies. Lancet Oncol 12:160-174, 2011
4)Silverstone PH:Prevalence of psychiatric disorders in medical inpatients. J Nerv Ment Dis 184:43-51, 1996
5)明智龍男:がん医療におけるこころの医学—精神腫瘍学から精神病理学への期待を含めて.臨床精神病理 39:3-9, 2018
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